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2011年1月26日水曜日

モーツアルト、 「魔笛秘教オペラ」そして フリーメーソン

音楽愛好家の知人(FJ氏)はGDで音楽を聴くのを日頃の楽しみとしておられる。

西欧の音楽をさらに深く理解するために、キリスト教文化、

フランス革命ほか広く深く理解する必要を感じて、

読書にも精出すこのごろだそうです。

最近頂いたメール(去る正月22日午前)に読み応えある読書感想を書いて送って下さったのでここに掲載させて頂きます。
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読書の感想

「魔笛秘教オペラ」(ジャック・シャイエ著、1976年10月第1刷)

が非常にためになりました。というのは今まで恥ずかしながらこのオペラは、

メルヘンチックなお伽話で、しかも途中で筋が逆転していると思い込んで

いたのですが、シャイエの本によるとそれは全くの誤りで、非常に高度な

人間の精神、思想を表現したものであり、筋の途中での転換はなく、最初

から一つの思想で一環している、というのです。

 シャイエによると、台本の根本思想は、《叡智》は「太陽の輪」=

宇宙を包囲し、それを自らの光線で貫いているもので、あるとき人間は男性

=太陽の王国と、女性=夜の王国に分離した、…分かりにくいですが、夜の

女王の夫が支配していた時代は性は未分離だった、そしてその夫が亡くなっ

たあと、ザラストロが太陽の王国の守護者となり、その奥義は、女の才知の窺

い知るところではない、とするかなりアンチ・フェミニズムの思想です。女の務

めは賢明な男たちの導きにすっかり身をゆだねることにある、とも言い切ります。

 そして秘教(ここではフリーメーソンを指していると思いますが)への入信式

(イニシエーション)の最終目標は、男らしく行動すること、ここでの男は男性

Mannであり、人間Menschではない、とわざわざ断っています。かなり男尊女卑

的なものですが、当時のフリーメーソンの仕組みを忠実に反映してるのだと思

います。

 そして飛躍しますが、⇒ここからは、訳者・藤井康生氏の解題から引用~ 

古代(エジプト?)のフリーメーソンの起源は、「混沌」から「秩序」へという宇宙

開闢神話をみずから体験することによって創造上の秘密を知ったことから発生

したものであり、半神的「ホモ・ファーベル」(具体的には錬金術師や、建築師

=石工メーソン)であり、イニシエーションを受けたモーツァルト(彼自身は「魔笛」

作曲の数年前の1785年に入会していた)は“音楽の錬金術師”とも言えるのでは、

ということです。

 また、フリーメーソン結社のイニシエーションの神話的シンボリズムを解き明かし

ただけでなく、この秘密結社の実態、とりわけ男性結社と女性結社の対立抗争を

実証的に明るみに出すことによって、「魔笛」という作品の「宇宙開闢神話」にきわ

めて18世紀的な時事的意味を与えた、とも述べています。

 この最後のくだりは、非常に新鮮な視点で、しかも難解ですので、本をよく読まな

いと理解できない(私もまだ朧げな理解です)と思います。「魔笛」がフリーメーソン

の儀式を取り入れた、ということは以前から知ってはいましたが、ここまで「深読み」

した書物は初めてで、目からウロコが落ちる思いでした。今後「魔笛」を鑑賞すると

きは、以上のような理解の上に立ってみるべきかなと思っています。

 長くなりましたが、これから図書館へ本を返却しに行きます

一部割愛してJournalist-Netにも掲載・併載

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